小さな発見を探す旅 #05

#05 キャベツのお告げ
最近、夕ご飯を作る時には同時並行で
友人に勧められた見なければいけないリストの
映像を一生懸命消化している。
でも今日は、目がしょぼしょぼして気力もなく
一品だけ、のろのろと料理をすることにする
鍋に水をはり、火をつける
マグマのようにポコポコとしてくるまで
ぼぅっと水面を見て
心ここにあらずのまま、
冷蔵庫でキンキンに冷えたキャベツを放り込んだ
キャベツがお湯に浸かった瞬間、
ふわりと花が咲くように明るい色になる
その薄緑色は目が覚めるような鮮やかさで
モノクロだった景色に一滴絵の具を垂らしたような
お湯に浸かったキャベツから
キッチンが一気にカラフルに色づくような感覚になる
キャベツ1枚でこんなに気分が変わるなんて。
映像にかまけて、料理の楽しみを
忘れていたことに気づく
あれもこれもと欲張らずに
一つ、目の前のことに集中しなさいという
キャベツからのお告げかもしれない。
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column 小さな発見を探す旅
日常にはすべきことが溢れかえっていて、毎日が光の速さで過ぎ去っていく。そんな日々の中で見過ごしてしまっている”面白み"に気づけたら、忙しない日々を少し肯定できるかもしれない。このコラムはそんな日々の面白みを探す、実験的な日記です。