小さな発見を探す旅 #06

#06 切り花を育てる
お花屋さんにチューリップが並び始めると
もうすぐ春だなぁと思う
チューリップを買う時はここで買いたい
というお花屋さんが決まっていて
そこで出合うチューリップたちは
水彩画のような繊細な表情をしていたり
鳥の羽のようにギザギザと大胆な形をしていたり
それがまた原種だったりするから
自然が作り出す造形は面白い
切り花は育てるというより
インテリアのように飾る感覚が強い気がするけれど
チューリップは一味違う
とにかく水をぐんぐん吸うので
花瓶でも嘘みたいに茎が伸びて成長を感じるし、
蕾の時には気が付けない
花が開いて初めて分かる表情の変化も面白い
この日買った淡い桃色のチューリップも
花びらが開きはじめたら
頬を赤く染めたような深いピンクや
目元にさりげなくアイラインを引いているような
黄色いアクセントカラーが姿を現した
春の足音がするこの時期には
切り花のチューリップから植物を育てる喜びや驚き
そしてほんの一部、春に芽吹く植物の輝きを
体験させてもらえる気がする
ガーデニングをする余裕もマメさもないから
気軽な切り花から
自然の変化を観察するのが今はちょうどいいようだ
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column 小さな発見を探す旅
日常にはすべきことが溢れかえっていて、毎日が光の速さで過ぎ去っていく。そんな日々の中で見過ごしてしまっている”面白み"に気づけたら、忙しない日々を少し肯定できるかもしれない。このコラムはそんな日々の面白みを探す、実験的な日記です。