#08 家の呼吸

#08 家の呼吸
普段自宅で仕事をしているので、
朝の支度が整ったらそのまま仕事を始めている
春の暖かな陽の気配を窓越しに感じながら、
気温も湿度も一定に保たれた部屋の中で。
それもそれで気持ちがいいと思っていたのだけど、
最近、ルーティンが変わって感じ方が大きく変わった
朝支度が終わったら、子と保育園まで
10分くらいの距離を散歩をしながら歩く。
木漏れ日や道すがらに咲いた花、
近所の犬に挨拶しながら
気分よく帰ってくると
綿毛のようにふわりと軽い外の空気とは違い
時間が止まったような家の空気の重さに
気持ち悪さを感じる
急いで家中の窓を開けて、
空気の流れを作ると、家が息を吹き返す
知らぬ間に溜め込み、浮腫んだ
心の湿度もスッと取り払われてゆく
満タンになった除湿剤を交換したように
ずっとひとつの場所に居ると、その居心地の悪さが
当たり前になってしまうから不思議だ。
気がつかないうちに望まないはずの何かに
少しずつ自分が変わってしまうような気がする
これからは毎朝窓を開けて、
部屋も自分にも風を通してあげよう
暖かい季節ならではの
前向きで清々しい楽しみを
息子のおかげでまた一つ思せ出した
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column 小さな発見を探す旅
日常にはすべきことが溢れかえっていて、毎日が光の速さで過ぎ去っていく。そんな日々の中で見過ごしてしまっている”面白み"に気づけたら、忙しない日々を少し肯定できるかもしれない。このコラムはそんな日々の面白みを探す、実験的な日記です。